色のイメージと心理効果
色には心理的な効果と、色そのもののイメージがあります。
パーソナルカラーであるか否かに関係なく夏には清々しく涼しげな淡い色や、モノトーンの着物を着たくなりませんか?
秋になれば秋景色に通じる茶系や深いグリーン系、
冬には暖かみを感じるほっこりした色、
そして春になると明るい色を取り入れたくなるのではないでしょうか。
着物の色と日本の四季、心のどこかでイメージがつながっているのだと思います。
色のイメージ
色から連想されるもの
りんごといえば日本人は赤、欧米人は青を想像するそうです。
自分が体験してきた記憶に影響されるので、個人差は大きいのです。
色を見て、このような言葉を連想するでしょうか?
赤:太陽、口紅、火、りんご、いちご
オレンジ:太陽、夕日、炎、みかん
黄色:太陽、光、ひまわり、たんぽぽ、レモン
緑:葉、草、森林、自然、エコ
青:空、海、水、湖
紫:着物、風呂敷、ラベンダー、桔梗
ピンク:桜、春、桃
茶色:秋、木、落ち葉、レンガ、チョコレート
白:雪、雲、ウェディングドレス
灰色:冬、コンクリート、曇り、ねずみ
黒:夜、墨、髪の毛、カラス
ほかにもいろいろあると思います。
色のイメージ
そして色のイメージはというと、このような感じでしょうか。
赤:熱い、派手、情熱的、危険
オレンジ:暖かい、陽気、楽しい、派手
黄色:明るい、目立つ、派手、注意
緑:若々しい、さわやか、平和、安全
青:さわやか、澄んだ、寒い、静かな
紫:大人っぽい、高貴な、おしゃれ、上品な
ピンク:かわいい、女性的な、やわらかい、甘い
茶色:落ち着いた、地味な、渋い、大人っぽい
白:清潔、純粋、きれい、軽い
灰色:大人っぽい、落ち着いた、おしゃれ、上品な
黒:高級な、シック、重い、硬い、暗い
危険は赤、注意は黄色、安全は緑、信号と同じですね。
ほかにもたくさん思い浮かぶと思います。
顔タイプに似合う色選びも大切ですが、色のイメージをいかしたコーディネートも楽しそうですね。
色の心理的な効果
イメージとは別に、色には心理的効果もあります。
心理的効果とは、同じ大きさのものでも、色によって小さく見えるときと大きく見えるときがあったりすること。
たとえば同じデザインの洋服でも、着太りして見える色、反対に着痩せして見える色があります。
白やピンクのセーターはふんわり柔らかく大きく見えますが、黒いセーターや暗いネイビーや茶のセーターはすっきりとしまって見えます。
このような色の影響は心理的効果といわれ、ほかにもいくつかあります。
色相による心理的効果
・暖色、寒色、中性色
PCCSの24色の色相環では、暖色は赤、オレンジ、黄色(1〜8)です。
暖かみのある色は、冬のお部屋のファブリックに使いたくなります。
反対に真夏にオレンジに統一されているリビングは暑苦しく感じます。
青緑や青(13〜19)は寒色です。
水辺を感じさせてくれる薄い青緑や青はさわやかで清涼感があるので、夏にはよい色ですが、冬になると寒々しく感じます。冬のお風呂場がブルー一色だとしたら、冷え冷えしていて、とてもゆっくり浸っている気になれませんよね。
24色相のうち、暖色でも寒色でもない色を中性色といいます。
暖かさも寒さも感じられない色です。
・進出色、後退色
廊下の先の扉が赤と青の違いをみてください。
同じ距離でも、赤い色の扉は近くに感じ、青の扉は遠くに感じます。
近くに感じるのが進出色。暖色系の色はこちらに向かってくるように見えます。
反対に遠くに感じるのが後退色で、青など寒色系は遠ざかっていくように見えます。
明度(明るさ)による心理的な効果
・柔らかい色、硬い色
明るい色は柔らかく、暗い色は硬く見えます。
モノと同様、着用する衣服の場合も暗い色は硬く感じるので、明るい色の着物より暗い色の着物はフォーマル感がでます。
ペールトーン、ライトトーン、ソフトトーンなどはソフトな印象に、ダークトーン、ダークグレイッシュトーンは硬い印象になります。
特に暖色系のほうが少し柔らかく、寒色系の暗い色は硬く感じます。
優しい雰囲気が好まれるベビー服などには明るくソフトなベビーピンクやベビーブルーが多いです。
・膨張色、収縮色
明るい色は膨張して大きく、暗い色は収縮して小さく見えます。
家具なども明るい色は大きく、暗い色は小さく見える経験はありませんか。
明るい黄色は、ほとんど青みが感じられない暗い青に比べると、膨張して見えます。
(進出色と後退色でもあります)
両方の明度をほぼおなじにしてみます。
色相が違っていても、明度が同じなら大きさは変わりなく見えます。
・軽い色、重い色
明るい色は軽く、暗い色は重く感じます。
同じ大きさのスーツケースであれば、シルバーと黒ならシルバーのほうが軽く感じます。
明るいグレーの着物と黒をくらべると、黒のほうが重く、さらに硬く感じる色でもあるのでフォーマル感が強くなります。
彩度(鮮やかさ)による心理的な効果
・派手な色、地味な色
彩度の高いビビッドトーンは派手な印象に、彩度の低いダークトーンやダークグレイッシュトーンは地味な印象になります。
同じピンクでも、鮮やかなビビッドトーンに黒を混ぜて彩度を下げると、ピンクは感じにくくなり落ち着いた色みになります。
色相と彩度による心的効果
・興奮する色、沈静する色
興奮感を高める色と沈静感を与える色もあります。
暖色で鮮やかな色は高揚し、寒色で彩度が低い色は気持ちを落ち着ける効果があります。
よく例に出されるのが闘牛ですが、観客の興奮を高める意味でも闘牛士の振るマント(ムレータ)は赤が使用されます。ウシは色を認識できないので色に興奮しているわけではなく、マントの動きに興奮するそうです。
青い壁や、紺のスーツには沈静効果があります。
テーマパークの鮮やかな色に囲まれた興奮と高揚感、
自然の緑に囲まれているときの心の落ち着きも、色の影響が大きいのかもしれません。
色のもつイメージと効果を上手につかってTPOに合わせた装いができたら素敵ですね。