夏の麻着物を洗いました①小千谷縮

この夏、お世話になった麻の着物は小千谷縮と宮古上布。

麻は木綿と同様、水に濡れると強度が増す繊維です。
ですから自宅洗いも可能。

小千谷縮は、お風呂場に衣装ケースを持ち込んで洗いました。
洗い方の手順をご紹介します。

洗う前に汚れを確認

洗う前に、衿汚れを落としておきます。
ほかにシミがないかも確認して、あったら糸印をつけます。

衿汚れ
衿元についてしまうファンデは油性汚れ。水だけでは落ちません。
和服の衿元はベンジンかリグロインが落としやすいです。

小千谷縮 洗う

タオルを衿の下に入れて、衿をひろげます。
もう一枚のタオルにたっぷりリグロインをしみこませて、トントンたたきます。

少しの汚れはこれでとれます。
でも今回の衿汚れは、けっこう頑固!
ですので、衿に直接リグロインを振りかけてタオルでトントン。
こすると繊維がいたむので注意です!
(絹物でも、たっぷりかけてこすらないように注意しながら、布に汚れを移します)

洋服では汚れの面を下にして、裏からたたいて
下に敷いた布に移す方法がよく紹介されます。

着物ではどうかとやってみました。

衿汚れ 落とす

どちらの方が、衿汚れはよく落ちるでしょうか?

前者でした。
着物の衿は、布が何重にも重なり合ってかなり厚くなっているので
直接、汚れをとる方が良いのかもしれませんね。

・シミ

一箇所、シミを見つけました。
外袖の山から少し下がったところです。

糸印で囲んで、場所がわかるようにしておきます。
洗ったあとに落ちているかどうかが確認しやすいのです。

袖のシミ

洗う

衣装ケースに水とエマールを入れて、あらかじめ洗液をつくっておきます。
エマールでなくても大丈夫ですが、蛍光増白剤のはいっていない洗剤を使います。
着物に直接、洗剤がつくと変色することもあるので
必ず先に水によく溶かしてから、着物を入れます。

まずは上半身だけを入れて押し洗いします。

なぜ上半身だけか?
理由は衿元、袖口が1番汚れやすいからです。

やさしく押し洗い、汚れがひどそうなところ、
汗が染み込んでいそうなところは振り洗い。

押し洗い 小千谷縮

その後、蛇腹に折って裾まで水に沈めて静かに押し洗いします。
汚れにもよりますが、水を変えて2回くらいすすぎます。

水を捨て、手で押して、ある程度水を切ります。
持ち上げるときは、重さで布地が伸びるのが気になるので
着物全体を湯船のはしに、まずのせます。

小千谷縮 干し方

それから片方の袖を一方ずつ、着物ハンガーにかけてから全体を持ち上げます。

干す

形を整えたら、 全体にシャワーをかけて、もう一度着物の形を整えます。
バイアス(斜め方向)には引っ張らないように気をつけます。

小千谷縮 シャワー

着物ハンガーが、袖口までとどかない=裄が足りない場合は
これを解消するために、腕棒を延長します。

手軽なのはトイレットペーパーをラップで包んだもの。
これを先端にさして伸ばします。

これで袖口までぴんと一直線に干せます。
途中で曲がったまま干すと癖がついてしまうので、
裄はたっぷりあると良いです!

着物ハンガー 裄出し

水の重さで自然に形がキープされるので、小千谷縮の縦ジワがきれいに戻ります。

小千谷縮 シャワー

衿以外はアイロンがけ不要です。
お風呂にしばらくつるして、水を切ります。
水が切れたら、外に出して陰干しします。

衿汚れも落ち、シミもうすくなって さっぱりしました。

小千谷縮 洗い上がり

洗うときの注意

麻の着物は洗えますが、注意点は
衿裏や居敷当てに絹がついている場合があること。

ポリエステルがついているなら洗っても大丈夫です。

居敷当て 縮む

裏が絹なのに、家で洗うとこんなふうに裏だけ縮んでしまいます。
背縫い、脇縫いの裾は、千鳥がけで着物縫代に縫い付けてあるので
その箇所以外は引っ張られてしまっています。

こうなったら、千鳥がけをはずして、
背縫いと脇縫いの縫代にたて方向に縫い付けてある縫い目もはずして
縫い直す必要があります。

居敷当てが短いのは、透けて見えます。
とっても気になる場合は
裾を居敷当てに合わせて短くして、くけ直すと良いですね。