この着物、マイサイズに仕立て直せる?
箪笥の中に眠っている着物、譲っていただいた着物、
自分のサイズに仕立て直しできるかしら?と思っている方に。
簡単な目安をお伝えします。
多くの方が小さくしたいよりも、大きくしたいけれどできるかな?とお悩みと思います。
特に、裄丈、身丈あたりでしょうか?
ご自分で、これはお直しできるかな?と判断できたら良いですよね。
なんとなくわかるだけでも、どちらかにご相談にいかれる前に心の準備もできるし、
これは絶対に無理〜となったら、余計なものも買いませんし、箪笥の整理が進みます♪
(自己責任でお願いしますね!)
母(身長148cm)の黒留袖を、妹(162cm)が着られるように仕立て直すことにしました。
身丈、裄、袖丈、、、いろいろ直すところはあります。参考に。
問題の黒留袖
身丈(背中の襟がついているところから裾まで)以外に直すところを書き込みました。
①裄が短い!
裄丈は肩幅+袖幅です。
ここは袖付け部分の縫代を確認します。
見頃(体の方)側の、袖付け部分の縫代がどのくらいありますか?
1cmくらいの縫代が取れそうなら、大丈夫。もう少し幅が出せます。
袖の方の縫代はどれくらいありますか?
袷の着物だと見にくいですが、濃い色なら胴裏側から見たらわかるかもしれません。
②襟下丈が短い!
襟がどこからついていますか?
水色で書いてある線の部分、ここが襟のつけ始めです。
襟のつけ始めから裾までの長さが、襟下丈です。
身長の半分が目安です。短い身丈の着物=襟下も短い、です。
襟下が短いと足が短く見えますね。
おはしょりよりずっと下というのは、バランスが悪く見えますね。
襟のつけ始めを、裾から高い位置に持っていけば良いのですから、
襟の長さが許せば、ほぼ大丈夫なはずです。
③身幅が狭い!
なぜかこの着物、スリムな妹にも身幅が狭い、、(母の体型は、昔は普通、今はお〇〇)。
身幅が狭いと、ご覧のように上前衽が前幅を覆ってくれないので、
脇線が丸見えで太って見えます。
そして、前側の重なりが少ないので、歩くたびに足が見えそうで気を遣う!
歩きにくいです!
そして身丈。
身丈が短いと、おはしょりがでない、襟下丈が短い、着にくい等問題があります。
身丈が出るか出ないかは、少しわかりにくいです。(画像、後で追加します!)
身丈が伸ばせるか伸ばせないか、はじめに見ていただきたいのは「内揚げ」があるかないかです。
内揚げって何?ですよね?
前見頃の身八つ口の下に、横ラインに縫い込みがありますか?
内揚げがあれば、その分、身丈を伸ばせます。
(裾が擦り切れていたりして、新たな縫代が必要な場合は少し短くなります)
後ろ身頃ではないですよ!
後ろ身頃の背中にある横方向の縫い込みは「繰越」といって、
着付けの時に襟を後ろ側に抜きやすくするため、
肩山を後ろ身頃側にずらして仕立てるのに必要なものですので、身丈が出るわけではありません。
前見頃側に縫い込みがあるかどうかが肝心です!
そしてもっと肝心なのがここです!
赤い矢印部分、前見頃と衽と襟が縫い合わせられる三角地点が「剣先」。
剣先の上に、衽の縫代(青い部分)がどのくらいあるか!?
見落としがちですが、ポイントはここです!!
剣先(衽先とも)の上に、何センチくらい縫代があるかです。
内揚げ、あるある、ラッキー!だけではなく、ここを確認してくださいね!
通常、内揚げほどたくさんはとってありません。仕立てにくいですもの。
ここって、縫代が、見頃も襟も衽も一緒になって
細い襟幅の中に折り込まれているので、確認はなかなか難しいです。
地色の濃いものなら、胴裏から透かしてみたり、
撫でて触って、縫代がどのくらいあるか推測したり、、
縫い直せる自信があれば、ほどいて確認!
専門の方に、お願いしても、身丈が出せるか後で確認します、とか
できるだけ出しておきますね、とか言われるのは、
ほどいてみないと分からないこともあるからです。
ああ、それなのに、こんなに長々と書いてしまって=読んでいただいて
ありがとうございます!こんな結果でごめんなさいです!
身丈に問題がない着物であれば、体格に特別なことがなければ、ほぼ大丈夫だと思います。
微妙であれば、専門の方に見ていただくのが良いですよ!
思い込みで大切な着物を処分してしまっては、悔みきれません。
ほどいたのを直すくらいなら、きっと誰かがやってくれますが、
くれぐれも後悔のないように!