腰紐の素材と使い分け

腰紐にもいろいろありますが、どんな腰紐をお使いですか?
腰紐の用途は、長襦袢や着物を着るときに腰に結ぶ名前通りの腰紐として使うときもあるし、
胸紐として使うこと、お太鼓を作る時の固定に結ぶときもあります。

手持ちの腰紐の材料と自分がよく使用するものの用途を考えてみました。
*ウールモスリン
*絹の絞り
*レーヨン
*ポリエステル 

ウールモスリンの腰紐

よく使う腰紐は、ウールモスリンです。
どこででも手に入りやすく、安価です。

koshihimo wool moslin

平たい紐は、体にぎゅーっと食い込まないので苦しく感じません。
細い紐はギュッと縛ると苦しいですよね。
ですので、私は着付けのときの腰紐は平たいこちらの紐を使います。

絹の絞り

ウールモスリンよりも値段は少し高いです。
あまり見かけることもありません。
30年ほど前、成人式のときに用意してもらったものです。

koshihimo silk shibori

体の後ろで帯のお太鼓を形作り、お太鼓の下線を固定するときに使います。
帯締をしっかり結んだら、抜いてしまう紐です。
絹はしなやかで帯との摩擦が少ないので、しゅっと滑りよく抜けます。

腰紐にするには幅が狭く、使い込んで紐状になっているので苦しく感じます。
ですので腰紐には不向きと思っています。

そして、こちらの最大の難点は色落ちすること。

以前、長襦袢の腰紐に使っていて、かなり汗をかいたときには
色落ちして長襦袢に腰紐の色が移ってしまいました。

この腰紐の中には、化繊のオーガンジーが入っています。
それで強度を出しているのですね。

使い込んで表の絹が擦り切れたところから
中のオーガンジーを引っ張り出してみました。

koshihimo silk

オーガンジーはまだまだハリがありますが、絹はかなり劣化しています。
写真はわざと引っ張り出したので、
こんなに長く切れるほど傷んでいたわけではありませんが、
たて方向に裂けがはいってきます。(いわゆる「たて裂れ」ですね)

レーヨンの腰紐

レーヨンは絹の代替として、絹を似せて作られた化学繊維です。
ですので、絹のように滑りが良いのが特徴です。

koshihimo rayon

滑りが良いので、腰紐や胸紐にはむかないかなと思います。
蝶結び、片輪結びをしようとするうちに緩んできます。

かさばらないので出かける時に持ち歩いています。

ポリエステルの絽の腰紐

おまけでいただいたポリエステルの絽の腰紐。

koshihimo polyester ro

化繊は滑りやすいのでほとんど使いません。
絹の絞りよりも滑りやすいと思います。

夏の長襦袢を買ったときについてきたもので、夏用の絽ですが、
吸湿性も透湿性、通気性も低い化学繊維ですので、夏には不向きです。



夏には新モスの腰紐を使うこともあります。

新モスは木綿なので、滑りがよくありません。
腰紐として使うのは適していますが、
お太鼓の固定に使うと、あとで引き抜きにくいです。

滑りやすい腰紐は、腰紐として結ぶときにも
お太鼓を固定するのに結ぶときにも、ずれやすいので上手に結ぶ必要があります。
滑りにくいものを腰紐にすると、結びやすく、しっかり着物を固定してくれて安心です。

いろいろな腰紐が出まわっていますので
ご自分の使いやすいものを用途によって使い分けると良いと思います。