草木で染めた糸が着物になりました

山崎和樹先生主宰の草木工房で染めた約40種類の草木染めの糸

草木染め 草木工房

草木工房は川崎市柿生にあります 今年度の募集は終了しています)

お世話になっている織物作家のsomeori-mさんに足りない糸の染色と織りをお願いしました。

網代 着物

こんなに素敵な着物に。

やさしい色味とやわらかな風合い、大切な1枚になりました。

もともとはこちらの色の生糸。

草木染め 生糸

この茶味の糸たちをピンクベースに、模様はsomeori-mさんの作品の中から網代を選びました。

緯糸も一緒に染めましょう、と話していたのですが、コロナの緊急事態宣言やそれぞれの予定が重なったため、なかなか実現せず。
糸染めも織りもsomeori-mさんにおまかせすることにしました。

ブルーベースのやさしいピンクにしようと、緯糸にはスルガ桜と榎を新たに染めていただきました。

someori-mさんの榎染め

「網代の反物の糸ですが、先々週に榎を先週は桜を染めてみました。
榎は近場にはなく、講習以外では初めて染めました!
切った翌々日に煮出して200回撹拌。100回で良いかな?と思いましたが、試してみたら…より赤みが増したのでバシャバシャしました(笑)
真綿糸なので、マットな質感でくすみがあるのが気になるところ。
網代の薄い色に使う桜も淡い色(桜の花びらのような)に染まりました。

榎は1~3煎目まで同じ条件で染め、1煎目が経糸と同系色。念のため2・3煎目も緯糸で使用する綛数で染めましたので、そちらを使うことも可能。または全く違う色を新たに染め直しもOK。
網代の大きさ等もご意見・ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。」

染めた糸をお送りくださり、念をいれての確認までご丁寧に。
こんなにも心をこめて染めてくださるsomeori-mさん、感動、感謝です!

5色の経糸を並べる順番、緯糸の色など細かなことまで相談させていただき、
エノキ、ムクノキ、タンガラ、ウメ、ニッケイの順に。
網代の境目にはエノキ、スルガ桜を。

網代織り

(実際はもう少し黄みよりのやわらかい色です)

緯糸は濃い方がエノキ、淡い方はスルガ桜

経糸の糸掛け

織物は緯糸の色が強くでます。

濃い経糸に淡い緯糸を織り込めば、経糸の濃さが和らぎます。
今回は茶味が気にならなくなり、全体がやさしいピンクの反物になりました。

経糸は生糸です。袷シーズンにほっこり着たいと思い、緯糸には5匁の真綿糸を使っていただきました。
ふんわりとやわらかい触感です。

メールで勝手な要望を送り続けご迷惑だったかと思いますが、嫌な顔せず要望以上の提案をしてくださいました。
描いていたものよりもずっとすてきな色、織の反物に仕上げていただき、本当に嬉しいです。

someori-mさんがおっしゃるのは
「素敵な着物を着た人」ではなく「着物を着た素敵な人」とみられる作品を目指すということ。
どこまでも真摯であたたかなお人柄そのものの作品です。
someori-mさんの作品に恥ずかしくない着姿(心身ともに)でありたいと思います。

初おろしはsomeori-mさんとお目にかかるときに、と考えていたのですが、
なかなか機会がなく、我慢できず袷シーズンのうちにと袖を通し、写真をお送りさせていただきました。


ずっとずっと傍らにおいておきたい大切な1枚です。