久米島紬とその文様

国の重要無形文化財に指定されている久米島紬、
日本の絣のルーツともいわれますが、新しいものは気軽に手が出せません💦

リサイクルコーナーで見つけたこの久米島紬。
あまりにも無造作に置かれ、 証紙もなく、
織り出しの緯絣もないので、偽物ではないかと疑いましたが、
この光沢、伝統的な織り柄、天然染料の発色、どう見ても本物!?

そして発見したのが、下前の襟先についているお仕立てマーク。
「○越」さんではありませんか!? 本物決定^^

久米島紬の特徴は、
久米島に自生する植物の草木染めと泥染めによる独特の色調、
縦糸に生糸、緯糸には真綿をマヌカキという久米島独自の紡ぎ台で紡いだ手引きの紬糸を使用したざっくり感の中にも腰がある風合い、
砧打ちによって出るしなやかさと光沢にあります。

基本の5色とされるのは焦茶、赤茶、黄、鴬、鼠。
焦茶:グール(サルトリイバラ)の根
   テーチ木(車輪梅、テカチ)の枝
   グールとテーチ木で染色したものを泥染め(鉄媒染)することで黒褐色に
赤茶:グールとテーチ木で染色したものを明礬媒染
黄色:クルボー(ホルトノキ)と楊梅(ヤマモモ)の樹皮で染色して明礬媒染
鴬色:クルボーと楊梅で染色したものを泥染め
鼠色:ユウナ(オオハマボウ)の枝を焼き、その粉を発酵させて染める=グーズミ

15世紀半ば、堂之比屋が明に留学し、
持ち帰った養蚕技術で絹織物を始めたのが起源とされます。
17世紀には八丈島の泥染めが伝わり、現在の久米島紬が完成したといわれます。

江戸時代には薩摩藩への貢納布として高い技術を求められるようになり、
御絵図による絣模様が精巧に織られました。
薩摩への貢納品は、後に日本国内に広まり琉球紬と呼ばれ、
久留米絣や結城紬、十日町紬にも大きな影響を与えたといわれます。

沖縄の染織品には身近な自然の素材が多く取り入れられています。
琉球王朝時代から続く文様は、600種以上にもなるとか。

久米島絣の文様は基本的なものが80種ほど。
それに製作者さんがアレンジを加えていきますから無限に広がります。

絣文様とは経糸か緯糸、もしくは経糸と緯糸の両方の糸を織る前に染めて(先染め)、
織り出す方法です。

この久米島紬には4つの絣文様が入っています。

ミミチキトーニー:取手のついた餌箱

タダヌー:二連格子 もしかしたら星?

トゥイグワー:鳥

バンジョー=大工さんが使う曲尺?
クジリゴーシー=崩れ格子?
ヒキチギー=引き下げ?
こちらは色々調べましたが、何に分類されるかは定かでありません。
どなたかご存知でしたらご教示ください。

この4種の文様の繰り返しで模様を構成しています。

久米島紬は、糸紡ぎ、図案作成、植物の採取、染色、製織、砧打ちといった
全工程を一人で行っています。

手元に届いたこの久米島紬は、
どんな方がいつ頃作ってくださったのかなと思いを馳せます^^
染織の楽しみのひとつです。