着物のカラーコーディネート<トーン配色のイメージ>
同じ着物でも帯合わせ、小物合わせでまったく違う印象になります。
色みでは合いにくく感じても、トーンから考えるとぴったりマッチすることもあるのが着物の面白いところです。
ふだん何気なく着ているコーディネートも、実はこんな配色だからしっくりくる、ということに気づくのではないでしょうか。
トーンには、それぞれのイメージがあります。
トーンについてはこちら↓で詳しく^^
トーンの組み合わせによって、イメージは変化します。
色相のイメージが、トーンによって強調されたり、反対に対比が弱まって調和する場合もあります。
トーンにも配色技法があります。
3つのパターンをご紹介します。
同一トーンのコーディネート
同一トーン配色とは、ひとつのグループの中から色を選ぶ配色のこと。
同じグループは、明るさや鮮やかさが、ほぼ同じです。
(同じトーン内でも明るさ、鮮やかさは色によって異なります)
同じトーンの中でのコーディネートは、トーンの持つイメージがストレートに伝わります。
たとえば、こちらの着物はペールトーンの優しい黄色にペールトーンの黄緑の帯。
色の持つ強さやイメージは同じなので、伝わってくる印象はやはり優しさ、女性らしさ。
色相の配色でいうと「隣接色相配色」になるので、ソフトなイメージもあります。
色相の配色についてはこちらへ↓
同じペールトーンの着物でも、青紫の帯をコーデすると「補色色相配色」
反対色のコーディネートは、個性的でインパクトが強いものになりがちですが、
優しい色みのペールトーンなら上品にまとまります。
色のコントラストが出てきても、トーンのおかげで子供タイプでも違和感のない配色です。
これをビビッドトーン同士にすると、コントラストが大きく目立ちます。
活動的な印象になるこの色合わせは、アクティブキュートタイプやエレガントタイプの方のイメージです。
類似トーンのコーディネート
トーンが近い色合わせは、明るさや鮮やかさ、くすみ具合が似ているので、なじみの良いコーディネートになります。
中でも、となり合うグループは類似トーン。
横方向、縦方向、斜め方向。
この3つの方向でとなり合っていれば、さらに相性の良い配色になります。
細かく見ると、となり合う円はいくつもあります。
横方向にとなりは、鮮やかさが微妙に違うトーン。
縦方向にとなりは、明るさ(明度)が微妙に違うトーン。
斜め方向にとなりあっている組み合わせは、
鮮やかさ(彩度)と明るさ(明度)とも少しずつ変化のあるトーンです。
このような色合わせをすると、
たくさんのコーディネートが考えられますが、
同一トーンのときと同様にペールトーンの黄色を着物にして帯をあわせてみます。
類似トーン 鮮やかさの変化
横方向にとなり合うトーンは鮮やかさが変化します。
ペールトーンの黄色とライトトーンの黄色。
着物より帯のほうが鮮やかな黄色になります。
隣接色相配色に似た印象の落ち着いたイメージです。
トーンイメージはペールトーンとライトトーンがミックスされます。
ペールトーンの黄色に、補色の青紫のライトトーンをあわせた場合は補色色相配色でコントラストが大きくなりますが、トーンが近いのでしっくりきます。
類似トーン 明るさの変化
縦方向に隣り合うトーンは明るさが変化します。
ペールトーンと縦方向のライトグレイッシュトーンでコーディネート。
黄色のペールトーンより少し暗いライトグレイッシュトーンの帯。
ライトグレイッシュトーンは、明るめで少しにごりのある色。
落ち着いた印象になります。
流行中のニュアンスカラーに近いですね。
ソフトエレガントタイプの大人っぽく優しいイメージです。
類似トーン 鮮やかさと明るさの変化
斜め方向は鮮やかさと明るさの両方に変化がでます。
ペールトーンの斜め下はソフトトーン。
ライトグレイッシュトーンより鮮やかになるので、色みの違いがはっきりしてきますが
濁りのある色は、ソフトな雰囲気です。
ソフトエレガントタイプの方は、このような変化の少ない上品イメージが似合います。
対照トーンのコーディネート
対照トーンとは、離れたグループ同士の色合わせです。
対照的なコーデになるのは2つのパターン。
明るさ(明度)が対照か、鮮やかさ(彩度)が対照かのどちらかです。
対照トーン 明るさが対照
トーンマップで明るさ(明度)が対照になる配色は、上の段と下の段の組み合わせ。
上の段はビビッドトーンに白をまぜた明るい色、
下の段はビビッドトーンに黒をまぜた暗い色のグループです。
グレーが混ざっているこの間の色を選ぶと、対照トーン配色にはなりません。
ペールトーン(p)とダークグレイッシュトーン(dkg)
ライトトーン(lt)とダークグレイッシュトーン(dkg)
ブライトトーン(b)とディープトーン(dp)
ブライトトーン(b)とダークトーン(dk)など
上段と下段に離れたコーデは、明るさ(明度)が対照的な色合わせになります。
同じ黄色でも、ダークグレイッシュトーンは、黒の分量が多いのでほぼ黃色みを感じなくなります。
ペールトーンの黄色との色合わせは、コントラストが大きくクールな印象です。
対照トーン 鮮やかさが対照
トーンマップの横方向に離れたトーンの組み合わせは鮮やかさ(彩度)です。
右端のビビッドトーン(v)に少しずつ白、黒、グレーを混ぜると
左端の色のように、色みが薄くなっていきます。
ペールトーン(p)とビビッドトーン(v)
ペールトーン(p)とブライトトーン(b)
グレイッシュトーン(g)とディープトーン(dp)など
横方向にはなれた色の組み合わせは、色の鮮やかさ(彩度)が対照的になります。
こちらはペールトーンの黄色とビビッドトーンの黄色の色合わせ。
同じ黄色でトーンが異なるので、トーンよりも色のイメージが強いコーデです。
補色のコーディネートになると、色もトーンもコントラストがつくのでとてもインパクトのある配色になり、クールタイプやアクティブキュートの方にお似合いです。
トーンの明るさ、鮮やかさの両方が離れている場合は、さらにコントラストが大きくなります。
対照トーンの色合わせの場合、色相が調和していないと違和感を感じる配色になることがあり、特にコントラストが苦手な顔タイプ、キュート、フェミニン、フレッシュ、ソフトエレガントタイプの方は、なじみにくくなることがあります。
アクセントとなる帯揚げや帯締めの色が重要になってきます。
着物の色合わせ
トーンを中心にしたカラーコーディネートにも、調和するコーデと調和しにくいコーデがあります。
けれども配色が調和しているからといって、すべての方に似合うわけではありません。
顔タイプにより調和しにくい色合わせでも、それがしっくりくる方もいらっしゃいます。
色相とトーンを両方から考えると、模様や素材に縛られず、色合わせ中心のコーディネートでも顔タイプに近づけることができます。
例にあげたコーディネートの着物の色は黄色のペールトーン。
帯はそれぞれ違いますが、帯揚げと帯締めは黄色のビビッドトーンです。
すべてのコーデが同じ色の小物には見えません。
組み合わせる色によって、小物の見え方が変わってくるのです。
小物は組み合わせる色との対比で目立つときもあれば、
反対に似た色やトーンの場合、なじんで落ち着くこともあります。
着物と帯のコーデで納得できない場合は、小物の色を変えてみるのも一案です。
お手持ちの着物や帯がご自分のパーソナルカラーや顔タイプに合わない場合でも、
小物ひとつで似合う雰囲気に近づけることができるのです。