虫干しは着物の整理をかねて梅雨入り前に

奄美、沖縄では梅雨に入ったとのことですが、
梅雨入り前に、袷の着物の整理を済ませておきたいですね!

梅雨はじめじめと湿度が高く、梅雨明けしても、夏の間は湿度が高い状態が続きます。
梅雨に入ってからの着物整理は、着物に不要な湿気を与えてしまうので避けたいところ。

着物の整理や虫干しはさわやかだな〜と体感できるときが、
人間にも染織品にも絶好のタイミングです。

お住まいの地域によって違いはあると思いますが、
多くのところでは4〜5月と台風シーズンが去った10〜11月くらいが
温度、湿度ともに適しているのではないでしょうか。
季節で言えば初夏と晩秋くらいが、さわやかに感じませんか。

以前は虫干しといえば、梅雨明けの土用干し、それと秋と冬の乾燥している時期の年3回にと
言われることが多かったのですが、7〜8月は案外湿度が高いし、暑くて汗をかくし、、、
汗がたれて着物についたりしたら一大事! 
変色の原因になります。
真冬だって寒くて窓を開け放しておくのは家族からクレームがきそう。

4〜5月はちょうど単衣や夏物を出すタイミング、そして年間の中でも湿度が低めです。

着物の湿気を飛ばし、たとう紙や防虫剤も入れ替えて、
じめじめの梅雨と暑い夏を乗り切ってもらいましょう♪

虫干しの目的

・風を通して湿気やタンスの中で含んだガスを飛ばす

・汚れ、シミ、カビ、ほつれ等がないか確認
  虫干しで着物を広げる機会に、汚れやシミがないか確認します
  あればクリーニングやお直しに

・汚れを落とす
  皮脂が残っていると虫が食べにきますし、ほこりはカビを含んでいることもあります
  自分でできるレベルの汚れなら、おとしてしまいましょう
 *虫は絹を食べたいのではなく、絹についている汚れを食べにやってきて、
  一緒に絹を食べて穴を開けます💧

・傷んだり、変色しているたとう紙を取り替える
  傷んで穴が開いていると周りの環境の影響を受けやすくなります
  黄ばんでいるたとう紙は、その色素が着物に移ることがあります

着物の整理、虫干しのタイミング

最適な環境は

・おおよそ温度20〜25度、湿度40%以下
  虫干しは湿気を払うのが目的のひとつなので、湿度が低い時に!

・晴れが続いた日
  晴れの日が続くと、湿度は下がってきます
  以前は3日間お天気の良い日が続いたら、などと言われていましたが、
  忙しい現代、お天気と睨めっこしてタイミングを狙いすますのは無理💦
 
  前日が雨だったら、湿気はまだ残っているのでやめておきましょう!

・晴れた日の10〜14時くらい
  早朝や夕方は湿度が高くなります
  お日様が空気を乾かしてくれている時間帯に虫干しして、できれば当日中にしまいます

虫干し時の注意

・直射日光が当たらず、温度の変化が少ない部屋で
  直射日光には紫外線がいっぱい! 変色や褪色(色あせ)の原因になります
  直射日光でなくても窓際近くは光の反射が多いです
  蛍光灯にも要注意! 博物館で使用している蛍光灯には紫外線が含まれていませんよ

・風通しを良くする
  よけいな湿気やニオイを取るためには、風通しの良いところで作業しましょう
  それに防虫剤に含まれる有害物質を吸い込みっぱなしでは体によくありません

・着物ハンガーに吊るす
  袖も見頃も着物全体を広げれば、満遍なく風を通すことができるし
  汚れやシミ、カビの発見もしやすいです

・広げられなければ出すだけでもよしとして、汚れ等の点検はする
  スペース、時間がなければ、たとう紙を開くだけでも

・床に広げる場合は衣装敷きや布の上に広げ、直接床におくことを避ける
  汚れ防止です

・きちんとたたんでシワにならないように収納する 
  変なシワがつかないように、きちんとたたむのが基本です
  折り目が残って欲しくない場所にはクッションをいれると
  折り目がつきにくく、ついても目立ちません
  帯等の厚地のものは折山のスレ傷の防止になります

折り目に挟むことで、きつい折りジワがつきにくくなります
細長い筒タイプ
手作り 少し幅広のクッションタイプ

当日中に片付けられない場合

1日中、着物と向き合っていられる方は少ないかと思いますし、枚数が多いと1日では大変!

もし当日中に片付けられないなら、次の点に注意しましょう。

・温湿度が急激に変わらないよう気を付ける
  特に湿度が上がらないように!
  キッチンやお風呂のとなりの部屋は湿度が上がります

・光に注意する
  日が沈みかけの西日、蛍光灯の光も注意です

・着物の生地が伸びないように気を付ける
  着物ハンガーに吊るしている場合は、着物全体を空中につるすのではなく
  裾を床に10cmくらいつけておくと肩山によけいな負担がかからず、生地が伸びにくいです
  裾の袋状帯の防止にもなります

・余計なシワをつけないようにすき間を空ける
  ひしめき合うように並べると、風が通りにくく、シワにもなりやすいです

着物の収納

・絹と毛は違う引き出しやケースに入れる
  虫は毛が大好き! ウールのセーターに穴を開けられた経験ありませんか?
  ウールに引き寄せられた虫は、一緒に絹があったらその汚れを探して食べます

・着物が直接タンスに触れないよう、たとう紙に包む、引き出しの底に布を敷く
  桐のタンスでも、着物が直接タンスに触れないよう、たとう紙に包んで収納しましょう!
  タンスに入れない収納の場合は、たとう紙や布に包んで空気と直接触れないように!
  (虫の進入を軽減します)

・防虫剤は適切なものを適量、使用する
  量は引き出しの広さや、収納状況に合わせて説明通りに入れましょう
  違う種類の薬剤は併用しないこと、薬剤は上から下に広がるので上におくこと、
  着物に直接触れないようにたとう紙の外におくことを守りましょう

防虫剤についてはこちらをご覧くださいね。
  防虫剤選びで気をつけたいこと

・乾燥剤や、除湿剤も入れると良い
  着物に湿気を与えないようにしましょう

虫干ししている間にタンスの掃除をしっかりと

虫干しして湿気をとったり、汚れを落とした着物、
せっかく手間をかけたのですから、きれいなタンスに戻しましょう♪ 

虫干しの間にタンスにたまったホコリをとり、乾拭きします。
ホコリの中には虫の卵やカビが潜んでいることもあります。

防虫剤の混用を避けるためにも、タンスの中にも風を通してすっきりさせましょうね!

虫は4〜5月、9月に発生しやすいというデータがあります。
虫にとっても心地良く増えやすい環境は、人間が活動しやすい環境と同じようです。
30度を超えるとあまり増えなくなります。

ついでですが、カビにも乾燥を好むタイプがあります。
ジメジメだけを心配していてはやられます。
白くかさついた乾燥カビもあります。
乾燥しているからカビの心配はないと油断せず、
着物の整理、お片付けの時にはホコリを残さないように気をつけてくださいね!