藍の生葉染め
久しぶりに藍の生葉染めをしました。
庭では4月初めにまいた蓼藍の種がよく育ち、6月下旬に1回目の刈り取りをしました。
このときは友人に生葉染めに挑戦し帯揚げを染めてもらい
好みの色がでたととても喜んでくれました。
それから1ヶ月。
あっという間にまた伸びて今回は2回目の刈り取り。
わたしも絹の帯揚げを染めてみました。
少量で手軽にできる生葉染めは、簡単ですが時間が勝負!
藍の葉に含まれるインジカンは、葉を刻んだり、ミキサーにかけたりすると、
葉の中の酵素によってインドキシルという酸化前の中間体に変化します。
(酸化が進むとよく聞く色素インジゴになります)
生葉染めは水中に溶け出したインドキシルを布に染み込ませます。
インドキシルを含んだ布を空中や水中で酸化させると、
インジゴが生成されて爽やかなブルーになります。
水中でも酸化が進むので手早くする必要があり、布と生葉の量の比率や、
布との相性もあるので思う色に染めることはなかなか大変ですが、
自然の染め上がりの色はとてもきれいです。
帯揚げを生葉染め
準備するもの
・衣装ケースなど、布を泳がして染色できるもの
・ミキサー(包丁で刻んでも良いけど、スピードが必要)
・洗濯ネット(少量ならゴミネットでも)
・ゴム手袋(爪も指も怪しく染まります)
・ボウル
藍の生葉染めの手順
1.藍の茎をハサミで刈り取り、葉と茎に分ける
葉 420g 茎 412g
葉は布の量の3倍以上が良さそうです
傷がついた部分がすでに藍色に変化していますね
2.布の重さを測り、水につけておく
今回染める帯揚げ(袷用) 58g
竪絽(夏用長襦袢の残布) 47g
3.ミキサーに葉と水をいれて細かくし、洗濯ネットに入れる
包丁で刻んでもOK
4.水中で洗濯ネットを揉んで色素を抽出
(水からネットがでないように10分くらい揉む)
葉が出てきてしまったので一度濾しました
(前回ネットに入れるのも濾すのも忘れて染めたら、布にくっついて後が大変でした)
5.水で濡らしておいた布をつけて、水から出ないようにたえず動かす
6.染まってきたら染液から引き上げて、空中で酸化してみる
良い色になるまで繰り返す
今回、はじめは5分くらい引き上げず空中に出ないように染色。
空中に出すと緑から青に変わります。
だんだんと濃い青に変わってきます
7.15~20分くらいで終了。長い時間をかけても濃くならず、色が濁ります
清々しいブルーに染まりました。
上は竪絽の長襦袢の残布。
下はワッフルのような凹凸のある紋織の丹後ちりめんです。
活躍してくれそうです^^
以前染めた藍の生葉染め。
サッカー地(上)
鮮やかすぎると感じたので鉄媒染をかけました。
少し落ち着き過ぎましたね。
花の紋綸子(下)
紫に染めようと染色前に重曹で処理しましたが失敗。
もっとアルカリに傾けないといけないようです。
ですが薄いブルーグリーン系、合わせやすそうな色です。
発酵建ての藍染めとの違い
一般的に「藍染め」というと、生葉染めではなく発酵建てした藍(乾燥藍や沈殿藍)で染色したものを想像することが多いと思います。
生葉染めでは水中のインドキシルを布に染み込ませて酸化させますが、
インドキシルが酸化するとインジゴになります。
インジゴはブルーの色素です。
デニムをインジゴブルーとも言いますよね。
インジゴは水に溶けない不溶性の顔料です。
染料と違って繊維表面に乗っているだけなので、
摩擦に弱く色移りしやすい弱点があります。
インジゴでの染色は藍を発酵させたり、
ハイドロサルファイトを使ったりしなければならないので、
少々手間がかかります。
染まりやすい繊維も違う
生葉染めは絹や羊毛などのタンパク繊維には染まりやすいですが、
セルロース繊維である木綿、麻には染まりにくいです。
セルロース繊維を染める場合、
前処理としてタンパク質である豆汁や牛乳で下処理をすることがあります。
綿や麻を染めるには、発酵建てのほうがむいています。
発酵建ては、木綿の浴衣や阿波しじらなどと相性が良いのです。
ですから江戸時代、木綿栽培の普及とともに
藍染めも多くされるようになったのでしょう。
発酵建ての藍の色はジャパンブルーと呼ばれる深いブルー。
海外でも注目の色は、生葉染めとは違う味わいで、こちらも素敵な色ですね!